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【Part1】更年期をラクに乗り切るマネジメント法 丸の内キャリア塾スペシャルセミナー

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2023年3月1日、更年期「毎日をイキイキと楽しく!―更年期をラクに乗り切るマネジメント法―」と題して丸の内キャリア塾スペシャルセミナーで吉形先生が講演されました。

40歳を過ぎたあたりから、「更年期って一体どうなるの?」「更年期障害の治療って何をするの?」と、ただ不安だけが膨らんでいることはありませんか?

吉形先生も長年更年期外来をしていると、患者さんがとにかく不安を抱えて外来を受診される方が多いといいます。

そこで今回のセミナーでは、その不安を取り除くために具体的に何をしたらよいのか?をわかりやすく解説。他人事ではなくて、自分事。自分の体を「マネジメント」する方法をみていきましょう。

更年期をラクに乗り切るには? 答え:閉経をマネジメントすること

恐怖訴求だけが先行している更年期にまつわるあれこれ。家族、友人、職場の先輩など自分の周りにいる女性の話を聞くと私の身にもそんなことが起きるのかしら?と不安になります。しかし、何もしないで不安になるよりも、「起きることを予想して対策を始める」ことが大切です。閉経に向かって時間は進んでいることを受け止めた上で、「閉経マネジメント」を始めていきましょう。

大事なことは2つ。

1つ目:女性ホルモンの変化をマネジメント

2つ目:折れない骨をマネジメント

 

1、女性ホルモンの変化をマネジメントする方法 

まず初めにすることは、女性ホルモンはどこでどんな働きをしているのかを知ることです。

女性ホルモン=エストロゲンは全身に存在する「エストロゲンレセプター」というスイッチに結合して初めて働きます。全身に存在するエストロゲンレセプター。例えば、脳にあるレセプターが動かなければ物忘れ、うつ。皮膚であれば、乾燥やシワ。循環器系であれば動脈硬化の進行、脂質・糖代謝系は脂質異常症や糖尿病、骨は骨粗しょう症。泌尿器は過活動膀胱や性交痛、萎縮性腟炎など様々な症状や疾病が起こりやすくなります。

そしてもう1つ覚えておきたいのは、更年期障害はどうしておきるの?ということです。

卵巣の加齢によってエストロゲンの分泌が減ってくと、卵巣を見張っている脳の視床下部や脳下垂体はホルモン分泌が減っているため「足りないからもっと出しなさい」と指令をだしてきます(フィードバック作用)。エストロゲンが減るから更年期症状がでるのではなく、エストロゲンが減ったことに対応するため、脳から卵巣を刺激するホルモンがあまりにも過剰に急激に起きることで脳がパニックになります。このパニックが脳の中の自律神経を乱れさせさまざまな症状を引き起こします。ほてり、発汗、動悸など。この一連の動きにより出現する症状を「更年期症状」、生活に支障が起き治療が必要になると「更年期障害」と呼びます。

 

プレ更年期から始まる更年期症状と生活習慣病

月経の乱れが起きる頃から、実は動脈硬化や骨粗しょう症が始まっています。動脈硬化や骨のことはもっとずっと先だと思っている方も多いと思いますが、実はプレ更年期から始まっているのです。

血管や骨の老化は、更年期世代から予防、早期治療をすることが健康寿命を伸ばす「カギ」となります。

女性ホルモンの変化をマネジメントする3つの方法

エストロゲンレセプターのスイッチを薬、サプリメントの力を借りてONへ。

全身にある「エストロゲンレセプター」のより詳しい場所

レセプターαが多い:乳腺、子宮、卵巣、副腎、腎臓 など

レセプターβが多い:骨、血管壁、脳、肺、肝臓 など

 

●HRT(ホルモン補充療法)

 

エストロゲンを補う治療法。HTR(ホルモン補充療法)の主な効果は、更年期障害の改善、骨密度の増加、動脈硬化の進行予防です。 HRT(ホルモン補充療法)はエストロゲンの欠乏により引き起こされる症状に対して、エストロゲンそのものを補うことにより軽減させる治療法で根本治療ともいえます。

HRT(ホルモン補充療法)は年齢や症状、月経の有無、子宮の有無、閉経後の年数など状況に応じて投与方法はかわります。

 

HTR(ホルモン補充療法)の副作用として乳がんや子宮体がんを心配される方がいますが、黄体ホルモンを併用することで子宮体がんのリスクはHRT(ホルモン補充療法)をしていない人と変わりません。また、乳がんに及ぼすHRT(ホルモン補充療法)の影響は肥満や喫煙など生活習慣によるリスクより小さいと考えられています。

*HRT(ホルモン補充療法)の処方は医師の診断が必要です。

 

●エクオール

エクオールの構造はエストロゲンととても似ているため、全身で女性ホルモンと似た働きをします。HRT(ホルモン補充療法)は、エストロゲンレセプターα、βの両方に作用しますが、エクオールはエストロゲンレセプターのβに優位に働きます。骨、血管、脳などに働くことを得意とする一方で、子宮や乳腺への影響が少ないというメリットがあります。

エクオールは大豆イソフラボンが腸内細菌で代謝され産生されます。日本人では腸内で作る力がある人は1/2〜1/3程度です。エクオールはサプリメントで摂取することが可能です。

 

 

●漢方薬

根本的な体質、性質を改善したい人におすすめです。症状に対しての適応が保険処方でできるのである程度簡単に処方ができるようになっています。

 

以下に3つの方法をタイプ別にまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。

・HRTの効果が期待される人

閉経の前後数年から10年くらいの間。即効性を期待したい人。

とくにほてりと発汗がひどい。体の不調全般が重いと感じる

 

・エクオールの効果が期待される人

40歳以上

定期的な通院が難しくセルフメディケーションで対応したい人

冷え、不眠、疲れ、物忘れなど。精神的な不調や漠然とした不調が強いと感じる

 

・漢方の効果が期待される人

どの世代でも有効

根本的な体質・性質改善を行いたい。薬を継続して飲むのが苦ではない人

慢性的な冷え、むくみ、ほてり、不眠。閉経前後によらず、体質的・精神的な不調傾向がある人

 

この3つは組み合わせることも可能です。組み合わせについては主治医にご相談ください。