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年齢や体質によって異なる、乳がん検診の基礎知識

  • フェムケア

自覚症状がほとんどない乳がんは、気付いたときには症状が進行していた...ということも珍しくありません。

早期発見のためにも、病院での定期的な検診が欠かせないのは事実ですが、毎年検診を受けていたのに乳がんが進行してから発覚したケースを時折耳にすることがあります。

なぜでしょうか?そこにはマンモグラフィではわかりづらい、日本人女性に多い「高濃度乳房」の落とし穴が。

実は、乳がん検診は年齢や体質によって、おすすめする検査が異なります。
今回は、検診の種類や選び方、乳がん検診の基礎知識についてお教えします。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査は、乳房専用のX線検査です。板状のプレートで乳房を挟み、薄く引き伸ばすように圧迫して撮影するため、人によっては痛みを伴うことも。左右別々に、上下や斜めの方向から画像を撮影して、しこり(腫瘍)やひきつれ、石灰化などの有無を調べます。しこりとして触れる前の小さな石灰化を見つけることができるため、早期の乳がん発見に適しています。

検査時間は10分ほどで、費用は6,000~8,000円ほど。

 

しかし、そんな早期発見率が高いといわれるマンモグラフィも、40歳未満の女性の場合は乳腺が発達しているため、乳腺の異常が見つかりにくいといわれています。また、年齢に関わらず「高濃度乳房(デンスブレスト)」といって脂肪よりも乳腺の割合が高いタイプの人は、画像の多くが白っぽく写ってしまい、腫瘍と見分けがつきづらく乳がんの検出が難しいことがあります。日本人を含むアジアの女性は、この高濃度乳房の比率が高いと言われているためマンモグラフィを受けただけで安心しないよう注意が必要です。

最近では、「3Dマンモグラフィ」といって乳房を多方向から撮影し、立体的(3D)に再構成することで病変をより鮮明に写し、高濃度乳房でも病変を見つけやすい高精度な検査も出てきています。検査できる医療機関がまだ限られているので、インターネットなどで探してみると良いかもしれません。

乳房超音波検査

超音波検査は、超音波を出す器具を乳房にあて、はね返ってきた音波を画像にすることで、乳房内部を写し出すしくみで、痛みや放射線被ばくはありません。医師や技師が器具を動かし、しこりの有無やその形状や大きさを調べていきます。繰り返しじっくり見ることで、わずか数ミリ程度のしこりを見つけることもできます。 超音波検査は、放射線被ばくの影響がないため、体への負担が少ないのがメリットです。

ペースメーカーをつけている人や、放射線を避けたい妊婦さん、授乳中のママも検査可能です。

検査時間は15分ほどで費用は3,000円~5,000円ほど。

家族の既往歴や予算も考慮して選択を

会社の健康診断で乳がん検診がついている場合、年齢によって40歳以上はあらかじめマンモグラフィがついていることが多いのですが、加入している健康保険組合によっては乳房超音波検査に変更が出来たり、両方受けられたりすることもあるので健康診断の予約時に確認してみましょう。

乳がん検診は、基本的にマンモグラフィと乳房超音波を毎年交互に受診することがおすすめですが、家族に乳がんを患った方がいる場合や、予算にゆとりのある方は毎年両方受けてしっかり検査すると良いでしょう。

毎月のセルフチェックも大切

乳がんの中には進行の早いタイプもあるため、月に一度は自身の乳房をチェックして異変に気付きやすい環境をつくることも大切です。

下記を参考に、毎月決まった日にちにチェックすると良いでしょう。

 

<見た目のチェック>

 

見た目のチェックは、お風呂場など大きな鏡に映して行いましょう。両腕を下げたまま乳房・乳頭を観察したら、次に両腕を高く上げて、正面・側面・斜めから乳房を観察します。

 

□ 乳房の変形や左右の差はない?

□ えくぼのような凹みやひきつれはない?

□ 乳輪の変化や乳首のへこみはない?

□ 皮膚がただれていない?

 

<触ったときのチェック>

 

入浴中に手に石鹸をつけて、乳房の表面に円を描くようにして触ってみたり、指先をそろえてわきの下に入れてリンパ節が腫れていたりしないかチェックしてみましょう。セルフチェックの仕上げは夜寝る前。仰向けに横たわって、乳房の内側と外側を指の腹で軽く圧迫しながらチェックしましょう。

 

□ 乳頭をつまんだとき、出血や分泌物はない?

□ 触ったとき、しこりや硬いところはない?

□ 脇の下のリンパ節にしこりはない?

 

 

マンモグラフィと超音波検査の違い、いかがでしたか?

年に一度の健康診断、それぞれのいい点・悪い点を理解した上で自分に合った検査を選択しましょう。