不妊やうつの原因に?現代人のほとんどが不足している大注目の栄養素、ビタミンD
- ヘルスケア
美容や健康のためにビタミンBやCを積極的にとっていても、ビタミンDのことはよく知らない、という方は多いのではないでしょうか?本来、ビタミンDはきのこや魚介類といった身近な食材に含まれるため、食事から必要量を摂取できると考えられてきた栄養素。また、日光を浴びれば体内で生産することも可能なため、不足するとは考えられてきませんでした。
ところが近年の研究で、現代人のインフルエンザなどの感染リスク、うつやがん、不妊症などの発症リスクの高まりがビタミンD不足と密接に関係していることがわかってきたのです。
今や、欧米のスーパーではビタミンDを人工的に強化した食品がたくさん売っているほど健康に欠かせない栄養素となったビタミンD。今回は、ビタミンDの働きと不足する原因・対策についてお話します。
ビタミンDの働き
ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一種で、カルシウムの吸収を助けることから、骨や歯の維持に欠かせないことで知られています。しかし近年、免疫機能の調節や血糖調整作用、妊娠の成立や精神疾患にまで関わることが判明しており、さまざまな病気や症状の予防・改善が期待される栄養素として大きな注目を集めています。
まだ骨の心配は早いかな、と思う女性も多いかもしれませんが、骨密度の低下は顔のくぼみやたるみが目立つ原因になります。見た目年齢にも影響するため、早くから骨密度対策をすることは、美容面からもとても大切です。
また、ビタミンDは子宮内膜の環境を整えることもわかっています。なかなか妊娠しない、流産を繰り返してしまうという方は一度ビタミンDが欠乏していないか血液検査をしてみると良いでしょう。
どうして現代人はビタミンDが不足してしまうの?
ビタミンDが不足してしまう原因は、主に4つあげられます。
① 日光を浴びる機会の減少
本来、日光を浴びることによって肌でビタミンDが生成されるのですがSPF値の高い日焼け止めの使用や外出の減少によって現代人のビタミンD生成量は昔と比べて劇的に減っています。
窓越しに日光に当たっているとしても、窓ガラスは紫外線を通しにくいと言われています。住んでいる地域にもよりますが、夏なら木陰で30分程度、冬なら1時間程度を目安に日光浴をすると良いといわれています。
② 食生活の変化、食べ物に含まれる栄養素が減っている
昔と比べて、食の欧米化によりビタミンDが豊富な魚介類の摂取量が減っていることも原因の一つです。また、今は屋内で野菜を栽培することが増え、土壌環境の変化もあるため野菜そのものに含まれる栄養素も低下しています。
例えば、ビタミンDを多く含むといわれているしいたけ。干ししいたけと生のしいたけを比べると、干ししいたけの方がビタミンDは多いことが分かります。しいたけは、日光に当てるとビタミンDが増えるといわれています。時間に余裕があれば、生のしいたけを調理前に天日干しするのもおすすめです。
③ 肥満や加齢
肥満体形の方は、皮下脂肪でビタミンの利用効率が低下します。また、高齢者は生成効率や体内での活性効率が低下しているためビタミンDが不足しやすい傾向にあります。
④ 完全母乳による育児
昔から赤ちゃんの免疫力アップのためには母乳が良い、とされていますが実は母乳はビタミンDの含有量が豊富ではありません。昨今の過度な紫外線対策も相まってビタミンDの不足リスクが上がるため、お子さんの骨の発育への影響には注意が必要です。
最近の粉ミルクはビタミンDが配合されているものが多く出回っています。また、ビタミンDが配合されているおやつや子供向けドリンクもありますから、上手に取り入れてみることをおすすめします。
そのほか、夜型中心の生活をしている、肌荒れやアレルギー体質、風邪をひきやすい方もビタミンDが不足している可能性があるため積極的に対策するといいでしょう。
ビタミンD不足はどうやって対策したらいいの?
ビタミンDを補うには、過度な紫外線対策をせずに屋外で軽い運動をする、きのこや卵黄、鮭などビタミンDが含まれる食材を積極的に食べることが大切です。しかし、欧米のようにビタミンDが強化された食品がまだ少ないため、食事だけで必要量を補うのはかなり難しいといえます。
そのため、食事や日光浴にプラスして、サプリメントを上手く取り入れることも検討しましょう。
ビタミンDが不足しているか知りたい場合は、クリニックや健康診断のオプション検査で「25-OH ビタミンD」の血液検査を受けてみましょう。重度のビタミンD欠乏症と診断された場合は、保険適応での治療も可能です。
赤ちゃんからお年寄りまで、男女問わずすべての年代に必要とされる栄養素、ビタミンD。自分自身や家族の健康のために、積極的に取り入れていきましょう。