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フェムゾーンのヒリヒリ・違和感の原因と対処法

  • フェムケア

フェムゾーン(デリケートゾーン)何か気になることはありますか?においが気になったり、おしっこをするときにツンと痛かったり。フェムゾーンの悩みの代表と言われるのが、「痛み」「かゆみ」「におい」です。その主な原因は、「萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)」。

痛くて生活に支障がある場合は医療機関(婦人科、産婦人科)にかかります。病院にかかるほどではないかもしれない、病院に行く前の予備知識として、萎縮性腟炎のこと、そして普段からできるフェムゾーンケアについてご紹介します。

 

痛みの理由の多くは「萎縮性腟炎」

更年期以降の女性にとって、フェムゾーン(デリケートゾーン)の痛みを引き起こす原因の多くは「萎縮性腟炎」です。

肌は、表皮の一番奥の層で作られた新しい皮膚細胞が上へ押し上げられることで、古い皮膚が垢や角質となって剥がれ落ちて新しい細胞と入れ替わる、「ターンオーバー」というサイクルを繰り返しています。それと同じように、健康な腟粘膜も積み上がった細胞がはがれ落ちて、また積み上がるという新陳代謝が行われています。

この働きの中で重要な役割を担っているのが、腟粘膜の上皮細胞に含まれているグリコーゲン。グリコーゲンは、粘膜といっしょにはがれ落ちてブドウ糖に変わり、さらに腟の常在菌によって乳酸に変わり、腟の中のpH(ペーハー)を酸性に保って細菌の侵入・増殖を防いでいます。

ところが、年齢とともに女性ホルモンの分泌が減ることによって、腟粘膜の萎縮や腟の乾燥が起こる上、グリコーゲンも減るため、腟を守る物質がなくなってしまうのです。

こうして腟内を酸性に保てなくなって自浄作用が低下し、炎症が起きた状態を萎縮性腟炎といい、腟の痛みや違和感につながります。

萎縮性腟炎、具体的にどのような痛み?

一言で萎縮性腟炎といっても、ヒリヒリするという方もいれば、なんともいえない違和感があるという方もいます。

 

腟内の抵抗力が落ちるので、お尻の周りに常在している大腸菌や雑菌などが侵入して細菌性腟炎になり、それが原因で痛みを感じることも。萎縮は腟だけでなく外陰部や尿道にも起こるので、粘膜がひきつれて尿道口の位置が引き込まれたり、尿が腟に入り込みやすくなったりして痛みを引き起こすこともあります。

女性ホルモンの分泌が減る以外にも、洗いすぎが原因で引き起こされることもあります。萎縮性腟炎がそれほど進んでいなくても、洗いすぎると上皮細胞を無理にはがすことになり、グリコーゲンが失われてしまうからです。

萎縮性腟炎の治療・予防法

①    ホルモン補充療法(HRT)

痛みの原因が萎縮性腟炎の場合は、女性ホルモンのエストロゲンが含まれている腟坐薬を挿入する局所療法、あるいはエストロゲンの全身投与であるホルモン補充療法(HRT)が根本的な治療法です。

②    レーザー治療

近年、選択肢のひとつとして注目されているのが、顔のたるみの改善やリフトアップのために使われてきた技術を腟壁に応用した、炭酸ガスレーザーによる治療です。腟内に専用の機械を挿入し、専用のレーザーを数分間照射して刺激を与え、腟粘膜の細胞を活性化させて厚みや潤いを取り戻します。

施術中は多少違和感がある程度で、痛みや出血はほとんどなく、1回である程度の効果を実感できることがメリット。すでに、海外ではスタンダードな治療になりつつあり、今後は国内でもさらに広がっていくと思います。

③    フェムゾーン(デリケートゾーン)を正しく洗う。

フェムゾーン(デリケートゾーン)を専用のソープで洗うことには2つの理由があります。

・腟を良い状態に保つ常在菌を洗い流さないこと

・必要な潤いを残して腟内を酸性の環境に保つこと

ソープを選ぶ場合は、フェムゾーン(デリケートゾーン)専用のものを選びます。一般的なボティソープのpH値が9.0~11.0といわれています。腟内はpH3.8~4.5の弱酸性で保たれていますので、洗浄力の高いソープでは刺激が強く腟内の環境が乱れてしまいます。汚れを落としてうるおいは残すように作られた専用のソープを選ぶようにしましょう。

 

保存版!医師が教える正しいフェムゾーン(デリケートゾーン)の洗い方

日ごろからフェムゾーン(デリケートゾーン)を見る習慣を

すでに痛みがある方でも、腟は新陳代謝を繰り返していますから、適切なケアをすれば改善します。ただ、痛みを我慢して慢性炎症のようになってしまうと、回復にかなり時間がかかり、婦人科で治療しないと改善しないこともあります。生活に支障が起きる場合は、ためらわず婦人科を受診しましょう。その判断をするためにも日頃から、自分のフェムゾーンを見て、正しく洗う、保湿する習慣が大切です。

フェムゾーンを見るポイント

萎縮性腟炎の方の腟壁は、白くなったり充血したりするのですが、フェムゾーン(デリケートゾーン)の外側にも色の変化が現れることがあります。色が抜けたように白くなったり、ただれたような赤い色になっていたりしたら、腟内でも変化が起きている可能性があります。洗うときや、お風呂上がりにクリームを塗るときなどに鏡で見る習慣をつけておくと、「なんとなく色がおかしい」「肌が荒れている」といった変化や、汚れがつきやすい部分、洗いにくい部分などがわかるので、ケアもしやすくなると思います。

健康なときの状態を知っていれば、こうした変化にいち早く気付いて、痛みが出る前に対処することができるのです。

髪や顔を整えるのと同じ身だしなみの一部として、フェムゾーン(デリケートゾーン)のケアを心掛けましょう。